帰り道 デートの帰り道に読む
場面

返信が速くなった、あの一週間

返信が突然速くなった一週間だけ、嬉しくて仕方なくて、ずっと速さを見ていた。あれは何だったんだろう、と思った話。

その日から、返信が速くなった。

今までは、朝に送って、返ってくるのが夜、という間隔だった。
それが、ある週から、お昼に送ったら三十分で返ってくるようになった。

お疲れさまです! 今日は早く終われました

速いだけの返信でも、来るたびに少し嬉しかった。
正直に言うと、けっこう嬉しかった。

速さを、ずっと見ていた

その一週間、俺は返信の速さを観察していた。

ちゃんとした記録じゃない。寝る前にトーク画面を開いて、
送った時間と返ってきた時間を、頭の中で並べていた。

三十分、二十分、五分。
速くなるほど、気分が良くなる。一度だけ二時間空いたときは、何かまずいことをしたのかと思った。

「速い=脈あり」と、そのときは完全に信じていた。
あの一週間は、間違いなく期待していた。

あとから分かったこと

二回目に会ったあと、また間隔が戻った。

朝に送って、返ってくるのが夜。昔のペースに戻っていた。

速かったのは何だったのか。今はたぶん、こう思っている。

あの速さは、自分に向いていたんじゃなかった。
相手にとって都合のいい時間に、たまたま俺がいただけだった。

デート前で盛り上がっていたとか、その週だけ会社が暇だったとか、
理由はいくらでも考えられる。どれが正解かは分からない。

分かったのは一つだけ。速いからといって、何かを保証されるわけではない。

今は、こうしている

速い返信が来ても、一喜一憂しない。とは言えない。今でもする。

ただ、一つだけ変えた。速さを見るのをやめて、中身を見ることにした。

三十分で返ってきて「そうなんですね」だけなら、
それは速いだけで、何も返ってきていない。

逆に、半日かかっても、長い文章で「この前言ってたあれ、どうだった?」と聞いてくれる方が、
よほど意味がある気がする。

速さは、分かりやすい。だから目が行く。
でも分かりやすいものに引っ張られて、本物を見逃すのは、もうやめようと思う。

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